原油価格と原油関連企業の株価

一つの種類の製品で事業を推進している企業について考える時、その製品の価格によって利益も株価も影響を受けるだろうと考えられる。例えば原油を安定的に調達している企業なら、売値が上がれば利益も上がり、売値が下がれば利益も下がるのではないかと推測される。これは当たっているのだろうか。
どれだけ影響を受けているのか、アメリカ合衆国のエネルギー省のサイトが提供する原油価格の推移と、日本の代表的な原油取扱い企業であるJXTGHD、昭和シェル石油の株価推移を2010年6月~2018年6月にかけて並べたグラフが下記である。


これをみると、まずJXTGHDについて、2014年までは連動がみられるのだが、そこから先にあまり連動が見受けられない。原油価格の低下をこなし、株価は安定的に伸びているように思われるのだ。
これはなぜだろうか。

一つはJXTGHDに固有の理由で、JXと東燃ゼネラルの合併が2017年に起きたことである。この合併による規模拡大・効率性拡大への期待から2016年には株価が上がり始めていると考えられる。
しかし2015年については、原油価格の低下によって株価が低下せず横ばいとなった理由が分からない。2015年3月期には、2014年3月期に黒字だった業績も赤字になっている。利益に連動するという株価の基本からすれば理解しがたい現象だ。
仮説として考えられることは、
・PBRが関連する:資産は持っているので、株主資本価格近辺で時価総額がもみ合う
・配当が関連する:配当金額は下がっていなかったことで投資家が離れなかった
・業績予測が良い:2016年3月期も赤字だったが、IRが優れていたのかもしれない
あたりだ。

次に昭和シェル石油について、2013年から株価が原油価格と乖離して上がっている。このあたりの時期にはメガソーラー事業への進出をニュースとして取り上げられているくらいだが、JXTGHDも行っていた。なぜこうなったのか、よく分からないままだ。
2015年に原油価格が下がると株価も下がってはいるが、これは微減にとどまっている。
2017年の原油価格上昇にともない株価は上がっているので、2015年以降だけみるとどうやら連動している。

以上から、2010年~2018年のデータをみると、
原油価格と原油取扱い企業の株価は緩やかに連動するが、原油価格の下落に対しては抵抗力を一定持っていること、企業ごと固有の理由により株価の変動がかなりあること
が分かった。

コメント

このブログの人気の投稿

日本のマクロ金融

マンション価格と家賃